この本を読んで、第一に弁護士の資格を持っているから弁護士の仕事をしている人が多い世の中で、水野さんは数少ないやりたいことを実現する為に弁護士の資格を持っていると感じる人だった。
本の内容は濃く、最初の方は何度か読み返して理解をしていき、途中分からない単語はGoogleで調べながら読み終えた。作者のこれまでの考えや経験が詰まっている書籍だと感じた。
法学部で4年間学んでいたが、聞いたことのない楽しい法律の話ばかりだった。恐らく入学当時に聞いたはずの契約自由の原則の“公序良俗に反しない限り、法律に縛られず、自由に双方の契約を実現しても良い”という事を社会人になってから考えることもなくなり、法を知ってその範囲内でサービスを考え事業を進めるという事しかしていなかった事に気づいた。
この前提があり、法律を、守らなくてはいけない守りの道具と考えるだけではなく、イノベーションを生む攻めの為の方向性からも考えていて、コンプライアンスを法令遵守と訳している事への疑問から、英語ではcomplianceにはWishが入っていることに注目をしていたり、アメリカの法はテクノロジーが萎縮しない余白を残している事が提起されていた。正にアメリカは「法のデザイン」をしている国だ。
また、GoogleやUBERにも言及していて、これらの企業は法律を上(官僚)から変えるのではなく、下(法人や個人)から変える発想の元にサービスを成り立つことを前提にしているという内容も非常に興味深かった。サービスを広めてくれる人が広めやすいように法設計をしていて、ルールメイキング→マネタイズを生んでいるという観点からの話も初めてでした。
様々な分野の章がある中で僕の関連する不動産(建物、土地、都市)の分野では新たな知識を得たいという希望と、知らない事があったら恥ずかしいという感情を併せながら読んでいた。 新たな発見としては、これから拠点を複数持つ人に向けてのサービスに価値を見出す人がいるという事だ。民法、宅建業法、借地借家法などの法律の解釈が必要だが、日本の人口が減少する中、①東京の人口の増加②地方の人口減少の加速が起きていく。
更に新築優遇の税制や法律が有る事で新築物件への脱却が必要な中で、このサービスは中古物件の活用を居住と宿泊の間のサービスと位置付けて展開している所が面白かった。